パリのユネスコ本部で日本時間の26日午後5時半から始まった無形文化遺産の登録審議において、11月27日、日本の『手すき和紙』の技術がユネスコの「無形文化遺産」に登録が決定したとのことです。
対象となった産地・和紙は、埼玉県 東秩父村の『細川紙』、島根県 浜田市の『石州半紙』、岐阜県 美濃市の『本美濃紙』です。
ユネスコの無形文化遺産とは?
ユネスコとは、国連の機関のひとつで、教育・文化・科学を通じて、相互理解と世界平和と安全を守ることを目的とした機関です。
ユネスコは、その活動の一環として、世界の文化や芸能を守り伝えていくために、先人たちの優れた文化を「無形文化遺産」として選出し、保護の対象として定義してきました。
今回、その「無形文化遺産」として、日本の『和紙』が登録対象として決定しました。
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決定の理由は?
事前審査の時点で、ユネスコの補助機関から、「登録するにふさわしいものである」との勧告を受けていたとのことで、この事前勧告は覆った例がなく、今回も例に漏れず、勧告通りの登録となったようです。
また、ユネスコは、和紙について「和紙を作っている町では、楮(こうぞ:葉が桑の葉に似た木で、皮を和紙の原料とする)の木を育て、また、学校等で和紙を作る体験学習を行ったり、古来からの技術を若い人達へ伝承しており、町を挙げて和紙の技術を大切にしている」という旨のコメントをしています。
登録された和紙について
埼玉県 東秩父村の『細川紙(ほそかわがみ)』
細川紙は、紙の地合がしまっており紙面に毛羽立ちが生じ難いきわめて強靱な楮(こうぞ)紙であるとされています。
古くは774年の武蔵国で紙すきが行われていたという記録が『正倉院文書』に残っており、東秩父村では、およそ871年ごろから紙すきが始まったといわれています。
島根県 浜田市の『石州半紙(せきしゅうはんし)』
江戸時代に津和野、浜田両藩が紙専売を行なって製紙を奨励。その結果、津和野・浜田両藩で漉かれる半紙の総称を『石州半紙』が広く知られるようになったとのことです。
石州半紙は、繊維が細長く光沢があり結束が生じにくいといわれる地元の優秀な石州コウゾを使うことで、強靱な紙力、光沢、腰の強さ、にじみに対する抵抗性などのを持つとのことです。
全国の和紙の耐折度などの紙力調査では、石州半紙はつねに高位を占め日本で最も強靱な紙の一つといえます。
岐阜県 美濃市の『本美濃紙(ほんみのし)』
正倉院の大宝元年(701)の美濃国の戸籍用紙が、他の諸国の用紙より優秀な技術を示していたことから、平安時代から伝わっていると考えられます。
美濃は代表的な製紙産地であり、江戸時代には「美濃の障子紙は最上」と賞されていたようです。
また、本美濃紙は高級な障子紙(書院紙)や、記録用紙として用いられるとのことです。
障子紙という用途のうえで日光に透かされるため、繊維が整然としており、むらなく白く美しく、そして柔らかく強いことが特色だとのことです。
おわりに
日本では、すでにユネスコの無形文化遺産に登録されたものとして、「和食の食文化」、「歌舞伎」、「能楽」、「人形浄瑠璃文楽」、「雅楽」などをはじめ、「秋保の田植踊」、「アイヌ古式舞踊」、「組踊」など、じつに22件(今回の和紙を含め)の登録があります。
やはりこれは、日本固有の多くの文化が世界に認められているという証でもあり、日本人として嬉しく思いますし、同時に誇りに感じますね。
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